養育費の支払いに関するアンケートの結果
目次
はじめに
下記資料は、平成13年8月に、東京と大阪の家裁において、平成12年1月から6月までの間に調停成立で終局した離婚調停事件のうち、養育費の取り決めがされたものを100件無作為に抽出し、権利者に対して返信用封書を同封した照会書を送付し、回答を求める方法で実施されたものです。
古い資料ですが、養育費の支払いに関するある程度の実情は感じ取ることができると思いますのでご参照ください。
子一人当たりの養育費月額
- 4万円~5万円以下→23%
- 2万円~3万円以下→16%
- 5万円~6万円以下→10%
※最も多額のもの 20万円
※最も少額のもの 3000円
養育費の支払状況
- 一定の額を期限どおり全額受け取っている(50%)
- 一部について受け取っている(24%)
- 期限どおりではないが全額受け取っている(20%)
(請求等により履行が確保されたものを含む) - 全く受け取っていない(6%)
※この数字は、決めから約1年ないし1年半の期間の経過後の履行の状況であり、その後は徐々に期限どおり全額を受け取る率が低下傾向とある。
養育費が支払われなかった際の対応
- 連絡して支払うように要求した(22件)
- 家裁に履行勧告をしてもらった(12件)
- 知人や身内に相談した(11件)
- 弁護士に相談した(5件)
- 家庭裁判所の窓口に相談した(5件)
- これから家庭裁判所に連絡する
- 分かるような相手方でないので諦めた
- 何もしていない
養育費の履行勧告をした結果
- 支払うようになった(31%)
- 態度に変化はない(44%)
- 現在手続を準備している
家庭裁判所に相談しなかった理由
- 相談を考えたことがなかった(4件)
- 相談しても無駄だと思った(3件)
- 相手方や弁護士に連絡をとろうと思った
- 相手方と相談しようと思った
- とりあえず待ってみようと思った
- 次に支払われなかったら相談に行く
強制執行手続の利用状況
回答があった45件すべてが「強制執行手続を利用していない」としています。ただ、この調査の後”将来収入の差し押さえ”を可能にするなどの養育費の回収に関する法改正が行われましたので、現在は強制執行の手続きを利用する件数は増加していると思われます。
強制執行をしなかった理由
- 手続を知らなかった(10件)
- 費用がかかると思った(9件)
- 手続をとっても無駄と思った(7件)
- 現在手続の準備をしている
- 未払分がたまらないと強制執行は難しいといわれた
- 相手方に借金がある
- 相手方に子がいるので気が引けた
- 相手方が職を失う心配がある
- 相手方が逆上するおそれがある
このような実情から、養育費の滞納や突然の打ち切りなどの事態を減らすため、養育費の将来分の差し押さえを可能にする(将来収入の差し押さえ制度)などの法改正が行われました。
養育費が期限どおりに支払われない理由
- お金はあるが、支払おうとはしない(21件)
- 嫌がらせだと思う(13件)
- よく分からない(11件)
- 養育費の定め方や額に不満があるからだと思う(6件)
- 相手方にお金がない(5件)
- 支払う気持ちがなくなった
- 義務の意識が薄い(忘れている)
- 自分勝手で誠意がない
- 借金を返済中だから
- 相手方が失業中
- 相手方に子供ができた
- 相手方が死亡した
- 自分の欲しい物を優先している