養育費の取り決めから強制執行までの流れ

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養育費の協議から強制執行までの流れ

養育費は原則として当事者の話し合いで取り決めるとされていますが、協議がまとまらなかったり、協議自体ができない場合は、家庭裁判所の調停や審判に移行します。

ここでは①協議②調停③審判④即時抗告⑤強制執行などの流れを見ていきましょう。

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①当事者の話し合い(協議)

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養育費は「子の監護に必要な費用」であるとして、まずは話し合い(協議)で決定することになっています(民法第766条)。

しかし、離婚の手続上は養育費の取り決めは必須要件ではないので、養育費の取り決めをせずに離婚するケースも多々あり、制度上の問題も指摘されています。

また、養育費は、子から親に対して”扶養料”として請求することもできます。(民法879条)

第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
第879条(扶養の程度又は方法)
扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。

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②調停

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調停とは、養育費など私人間での紛争を解決するために、裁判所(調停委員会)が仲介して当事者間の合意を成立させるための手続です。

養育費の協議がまとまらない場合や協議自体ができないような場合は、家庭裁判所に養育費を請求する調停を申し立てることができます。(民法766条)

養育費に関する話し合いは、離婚調停の中でも婚姻費用の調停の中でもすることができます。また、一度決まった養育費であってもその後に事情の変更があった場合、たとえば、転職して所得に変更があったとか、再婚したとか、子供が進学したなどの場合には養育費の変更(増額・減額・免除等)を求める調停を申し立てることができます。

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調停では、話し合いをあっせんする調停委員が、現在の養育費の金額やお互いの所得など一切の事情を双方から聞いたり、必要に応じて資料等を提出させてたりして、解決案を提示したり助言したりします。

調停委員は「社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれる」とされていますが、必ずしも離婚や法律の専門家とは限らないので、間違った情報を前提に話し合いのあっせんが行われてしまうケースもあるようです。

「調停委員の言うことだから間違いないだろう」と、調停委員の言うとおりに結論を出しても、その結論に最終的な責任を負うのは当事者です。調停に臨むに当たっては正しい知識と相応の対策が必要となりますので注意しておきましょう。

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③審判

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養育費に関する調停を実施しても話し合いがまとまらず、あるいは相手方が調停に出頭しない等の理由で調停が不成立となったときは、自動的に審判の手続きに移行します。

審判では、裁判官である家事審判官が当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官の調査結果等種々の資料に基づいて判断し決定(審判)します。この審判に不服を申し立てずに2週間が経過した時は審判が確定します。

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④審判に対する即時抗告

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審判に不服があるとき、審判から2週間以内に即時抗告を提起することができます。即時抗告が提起されると、高等裁判所は即時抗告に理由があるかどうかを判断することになります。

即時抗告が提起された場合、裁判所から期日が指定されますので、その期日に裁判所に出向くことになります。

最終的に、即時抗告に理由があると判断された場合には審判は取り消されて事件は家庭裁判所に差し戻されますが、逆に理由がないと判断された場合には、審判書の内容で確定することになります。

なお、養育費に関する審判はあくまでもその時点におけるものに過ぎないので、事情が変われば改めて養育費の変更(増額・減額・免除等)の申立てをすることができます。

家事審判法第9条 乙類第4号(審判事項)
家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。
4.民法第766条 第1項又は第2項(これらの規定を同法第749条、 第771条及び 第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他子の監護に関する処分

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⑤強制執行(給料等の差押え)

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協議・調停・審判等で決まった養育費を義務者側がきちんと支払ってくれれば問題ありませんが、支払いが滞ったような場合は、法的措置を検討せざるを得なくなります。

当事者間で作成した公正証書、養育費の支払を合意した調停調書、裁判所が養育費の支払を命じた審判や判決は、いずれも「債務名義」という公的に養育費の請求権が認められた文書です。

権利者は、この債務名義に基づいて相手方の財産(預貯金や給料など)に強制執行することができます。

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第22条(債務名義)
強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
一  確定判決
二  仮執行の宣言を付した判決
三  抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
三の二  仮執行の宣言を付した損害賠償命令
四  仮執行の宣言を付した支払督促
四の二  訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第42条第4項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)
五  金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という)
六  確定した執行判決のある外国裁判所の判決
六の二  確定した執行決定のある仲裁判断
七  確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)

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