財産開示手続

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財産開示手続とは

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民事執行法改正により新しくできた制度が「財産開示手続」です。これまでの金銭執行の手続では、債権者は執行の対象たる債務者の財産を特定して手続きの開始を申立てることが必要でした。

しかし、債権者には債務者の財産を探すための法的手段が与えられていないため、債務名義を取得しても、執行手続を開始することが困難な場合も多かったのです。そこで、改正法は、債権者の申立に基づいて、裁判所が債務者に対し財産の開示を命じる手続きを創設しました(民執第196条~第207条)。

財産状況の陳述

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債務者が養育費を支払ってくれなくなった場合は、裁判所に「債務者を呼び出してくれ」と申立ができます。

すると裁判所は、「何月何日に裁判所に出頭しろ」と債務者を呼び出してくれます。出頭した債務者は宣誓をした上で自分の財産状況を陳述しなければなりません。裁判官のみならず申し立てた債権者の質問にまで答えなくてなりません。

財産開示手続の流れ

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申し立て

実施決定
(債務者の財産を開示させる手続を実施するという決定)

財産開示期日の指定

財産目録の提出財産開示手続の流れ (申し立て、実施決定、財産開示期日の指定、財産目録の提出、宣誓、財産を開示する陳述、虚偽の陳述には過料の制裁)

出頭

宣誓

財産を開示する陳述
※虚偽の陳述には、過料の制裁が加えられます。

財産開示の手続の申立ができる者

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申立資格を持つのは、執行力(強制執行を認めるという裁判所のお墨付き)のある確定判決や和解調書等を有する債権者です。

執行力があるものであっても執行受諾文言付公正証書ではダメです。そしてこの債権者が債務者の財産を競売しても回収できなかった場合ないしは回収できそうもないと説明できた場合に、申し立てられます。(改正民事執行法第197条)

開示しない場合の罰則

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開示を命じられた債務者は、裁判所で開かれる開示期日に出頭し、宣誓した上で、自分の財産について陳述し、また裁判所や申立人の質問に答えなければなりません。

正当な理由もなく出頭しなかったり、宣誓を拒否したり、陳述を拒否したり、虚偽の陳述をした場合は過料が科せられます(民執第199条、第200条)。

開示手続を円滑に行うためには、あらかじめ債務者から開示する財産の目録を書面で提出させる必要があるでしょう。

陳述する義務の一部免除

陳述義務の一部免除 (財産目録の提出)債務者は、事前に陳述義務の一部免除の申立ができると解されていますが、その場合には一部について財産目録の提出が必要となるでしょう。

この場合、一部免除の判断は期日においてすることになりますが、一部免除の要件が厳しいことからすれば、認められる場合は限られたものになるでしょう。その場合には、改めて続行期日が指定されることも考えられます。

財産の隠匿は難しい

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債務者は債権者から身を守ろうとして、不動産や預金の名義変更をすることがよくあります。債務者が陳述しなければならないのは陳述時点での財産状態であり、名義変更済み財産への陳述は不要です。

したがって債務者はホッとするかもしれませんが、債権者は債務者に対して質問をすることができます。「家族名義に預金を移したのか?、実質はあなたのだろう?」と質問され、裁判官の前で嘘をつくには余程の度胸がいりますし、罰則の対象にもなります。

移転したことが分かれば、その結果によっては詐害行為取消権として、過去の贈与や売買を、債権者の立場から取り消そうとすることも可能になります。

注意点

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財産開示制度の創設にあたっては、債務者のプライバシーの侵害や濫用、債務者に不当な圧力を加えるおそれがあるなどの理由から次のような対策が施されました。

  • 債務名義が限定されている
    基本となる債務名義の種類が限定されました。執行証書(執行認諾条項付公正証書など)などの債務名義は除かれた、ということです。
  • 3年の開示制限
    一度開示がなされると原則として3年間はその債務者に対して開示を命じることはできない。(第197条第3項)
  • 開示期日は非公開
  • 記録は関係者だけに開示
    開示事件の記録中、開示期日に関する部分の閲覧は、申立人、それと同等の資格(債務名義の所持など)を有する債権者、債務者等に限って許されています。
  • 目的外利用は禁止
    申立人および記録の閲覧等をした者が得た情報の目的外利用・提供は禁止される(民執第201条・第202条)。

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